気圧の変化である音を、ある媒体に電気信号として記録した場合、再生するには、その電気信号から再び気圧の変化を再現する必要があります。それを行う機器がスピーカ(正式には Loud speakers )です。 スピーカを駆動するためには比較的大きな電力が必要で、再生機器からの小さな電気信号を大きな電気信号に増幅しなければなりません。それを行う機器がパワーアンプです。 スピーカとパワーアンプを接続する際にはアンプの最大出力や出力インピーダンス (※1) 、スピーカの許容入力とインピーダンス (※1) にご注意ください。 (※1) インピーダンスとは交流に対する抵抗値のようなものです。
スピーカのインピーダンスは4Ω、8Ω、16Ωといったものが一般的です。また、許容入力の規定もあり、例えば10W 8Ωと表示されていれば、そのスピーカはインピーダンス8Ωで最大10Wまで入力可能であるということを表しています。 スピーカとアンプを接続する場合、お互いのインピーダンスを合わせる必要があります。もし、インピーダンスが合っていない(ミスマッチング)とアンプの能力を十分発揮できなかったり、アンプやスピーカに負担がかかりすぎて故障したりする恐れがあります。高いインピーダンスのアンプに低いインピーダンスのスピーカを接続した場合、アンプはオーバーヒートします。また、低いインピーダンスのアンプに高いインピーダンスのスピーカを接続した場合、アンプの出力を十分に使えません。
複数個のスピーカを1台のアンプに接続する場合、スピーカの総合インピーダンスをアンプのインピーダンスにマッチングさせる必要があります。スピーカの接続方法と総合インピーダンスには以下のような関係があります。
●並列接続の場合 例えば8Ωのスピーカを2本並列に接続すると、総合インピーダンスは4Ωとなるので、4Ωの出力インピーダンスのアンプに接続しなければなりません。なお、同じインピーダンスのスピーカを並列接続する場合の総合インピーダンスは、1本のスピーカのインピーダンスをスピーカの数で割れば計算できます。
●直列接続の場合 例えば8Ωのスピーカを2本直列に接続すると総合インピーダンスは16Ωとなります。なお、スピーカの直列接続は各々のスピーカが他のスピーカの影響を受けやすいのであまり好ましくありません。例えば 右図では1本のスピーカが断線すれば全てのスピーカが鳴らなくなります 。
スピーカの配線距離が長い場合や多数のスピーカを1台のアンプに接続する場合に、低電圧システムでは電線の抵抗成分による配線ロスが多くなったり、総合インピーダンスや接続方法の制約から接続したいスピーカの数を接続できなかったりします。これらの問題を解決した方式がハイインピーダンス方式で、ノイズの種類によってはアンプに影響を受けにくいなどの特長もあります。基本的にはアンプの最大出力時の電圧が100Vとなるインピーダンスとしています。
(1)低い電圧による送電 10V×10A=100W
(1)では10V 10Aの電源で、(2)では100V 1Aの電源でそれぞれの負荷へ送電しようとします。負荷側においてオームの法則〔電圧(E)=電流(I)×抵抗(R)〕より、(1)の負荷抵抗は 10V/10A=1Ω となり、(2)では 100V/1A=100Ω となります。しかし、配線途中で0.1Ωの線間抵抗(電線の抵抗の合計)があったとすると、負荷と配線は直列接続とみなせることから (1)では 1Ω+0.1Ω=1.1Ω、(2)では 100Ω+0.1Ω=100.1Ω がそれぞれの電源に接続されていることになります。(1)では 10V の電源に 1.1Ω、(2)では 100Vの電源に 100.1Ω の抵抗が接続されていることになりますので、それぞれの負荷に流れる電流はオームの法則より(1)では 10V÷1.1Ω=9.09A、(2)では 100V÷100.1Ω=0.999A となり、その電流が負荷に流れていることから、負荷に印加されている電圧はオームの法則により(1)は 9.09A×1Ω=9.09V (2)では 0.999A×100Ω=99.9V となりますので、実際に負荷側へ供給されている電力は 電力(W)=電圧(V)×電流(A) の関係より(1)では9.09V×9.09A=82.6W、(2)では 99.9V×0.999A=99.8W となり、(2)の場合の方がロスが少ない送電ができることがわかります。
各スピーカの入力インピーダンス